悲しき女の物語  作:キョン

自分は、どこにでもいる何の変哲もない中学生である。

これから話すことは、その何の変哲もない自分が体験したお話である…。

その日、東京の***町で開催される花火大会を、自分の家の近くの丘の上から見ようとしていた。

自分「早くしろ〜」

自分は弟と二人で行こうと玄関で弟を待っていた。

弟「ちょっと待って」

そう言いながら弟はニ階から下りてきた。

そして、ちゃっちゃか靴を履いてダッシュで丘へ向かった。

自分はゆっくり歩いて行った。

その丘というのは、自分の家の前の坂を登って行く途中にある。

正しくは、坂の途中のわかれ道を登った先にある。

その坂の途中には墓地があり、火の玉が出るとかで騒がれたこともあった。

そのわかれ道のすぐ先に階段がある。上にはただ広い土地があるだけで、子供の遊び場にしかならない。

だから、そこに入るのは99%子連れの親子だ。残り1%はたま〜にカップルなどが入ったるする程度だ。

そんなことを説明しているうちに、丘に着いてしまった。

その丘に着き時計を確認した。9時ちょうどだった。花火大会は9時開始だが、

自分「…見えねぇ」

弟「うん……」

見れなかったのですぐ帰った。何のために来たのやら。

来た時と同じように弟はダッシュで家に向かった。 俺も同じだ。

だが俺は丘から下りたところで、ふと階段のほうを見た。 そこには。一人の女性がいた。

自分「何だあの人?」

彼氏がいるのかと思ったが、そんな人は女性の周辺にはいない。

先に上に行っているのか? 何のためにだ、結構夜遅いし一人にさせることはないだろうしな。

もう少し見ているとその女の人には小指がなかった。

自分「うっ…」

相手には聞こえないような小声で唸ってしまった。病気か?事故か?

そんなことを考えていると、「コツコツコツ…」

女性は階段のところにはいって行った。

気になったのですぐに見に行った。

見るとそこには何かを探しているかのように、地べたに這いつくばっている女性がいた。

何をしているのか気になったが、これ以上やったらストーカーと勘違いされれのではないかと思い、家に向かおうとした。

だが、妙に気になったためあと一回だけさっきの女性を見ることにした。

もう一度見ると女性はこっちを向いていた。

自分は驚いた。なんでこっちを向いたんだ?

まぁいいだろう。これ以上いたらガチでストーカーになっちまう。今怪しまれたかもしれないしな。

回れ右、顔をあげてダッシュ!しようとした瞬間

なぜか「ドキンッ」と心臓がなった。

回れ右した目線の先にあるカーブミラーに、先ほどの女性が映っていた。

そしてだんだん近づいてくる。なぜか足が動かない。動け動けと念じても動かないものは動かない。

なぜか体中が逃げろと命令しているような気さえした。

そしてその女性は自分の肩に顔を乗せてこう言った。

女性「お前は私の気持ちが分かるか?」

自分「うわぁぁぁぁぁ!!!」

自分は走り出した。恐怖により動けなかったのか、あいつが何かしたのか知らんが、今なら○サイン・○ルトより速く100mを走れる気までした。

だがあの女は「待てぇぇぇぇぇ」と言わんばかりに追いかけてきた。

自分は息を切らしながら家に着いた。そして勢いよく扉を開けた。あぁ助かった…

しかしそこに待っていたのは同じ扉だった。

自分「…え?」

また開けても開けても開けても扉だった。

女性「もう逃げられないよ。君も私の気持ちを分からないんだね…」

あいつが追い付いてきた。あいつは巨大なのこぎりを取り出した。

自分「やめろ!!やめてくれ!!うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!・・・・・・」

その後自分は遺体となって発見された。その傷はのこぎりによってだと判断され、体は3つに切り刻まれていた。

それは、墓地にひとつ、カーブミラーの前にひとつ、階段の下にひとつ置いてあった。

しかし、小指だけはいくら探しても見つからなかった。

このときは異常な犯罪者の犯行だとされた。が、ここに古くから住むある老人はこんなことを言っていた。

昔々ここにはある美しい女性が住んでいた。その女性はそれはそれはたくさんの方々に愛の告白をされた。

だが彼女はそれらすべてを断った。彼女が本当に好いている男性はすでに天に召されていて、その方以外は愛さないと決めたからだった。

しかし、それが気に食わなかった男が三人いた。その男共はある決断をする、今にして思えば戯けた奴らだった。

他の男にとられるなら、自分たちの手で殺してしまおうと…。

その男共はその女を殺し平等に分け合った。つまり、殺した女をのこぎりで3つに分けたのだ。

その男共は満足だった。がしばらくしてその男共は遺体で発見される。

体をのこぎりで3つに切り刻まれて、それぞれ自分の家と他の男どもの家に1つずつ置かれてな。

つまり、女は自分と同じ目にあわせたのだ。その男共を。

しかし、その後発見された女の死体には小指がなかった。その後いくら探しても見つからなかった。

小指は階段のところに住んでいた男が持って行ったらしく、今もその小指を探している。

しかし、その女は小指がないことに恥を持っているらしく、小指がない亡霊を見たものは、体を切り刻まれて殺されるようになった。

死体は昔、女の死体が置かれた男共の家があったところ…つまり今の墓地、階段の下、カーブミラーの下に置かれるようになった。

そしてみな一様に小指だけは絶対に見つからなかったという…。


コメント

3点 2009/11/05 19:45
女の人が題名どうり悲しいですね…。
こうゆうホラー(ミステリー?)って怖くても
ついつい見ちゃいます^^次回作期待してます!

ゆき 2009/11/06 10:59
すごい怖いよ〜と教えてもらって読みに来ました。
語ってる中学生も読んでる途中で亡くなっているというのが
また怖いですねぇ・・・。
そして、女性はずっとずっと小指を捜してるかと思うと
本当に悲しいですねぇ。


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