雨 作:すすき
死亡ネタ、あとちょっとだけグロ注意かもしれません。
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ぽつぽつと、雨が降ってきた
-―雨―-
窓の外は少し暗くて、雨が少し降っている。
「ついてねぇなぁ、ったく、夕方から見回りだってのに、雨なんか降ってきやがった」
警察官になったばかりの祐輔はそう言う。
「こんなの小降りだよ、すぐ止むって」
あたしがそういっても、祐輔は窓の外をにらんでいる。
「祐輔は雨嫌いなの?」
そう聞いたら、あたりまえだ、って返ってきた。
「あたしはけっこう好きだな、雨。」
なんでだよ、って顔してるから、
「だって、意外とキラキラしてて綺麗じゃん」
ニコニコ笑って言ったあたしに対し、それだけかよ、と鼻で笑われた。
夕方になっても、雨は止まなかった。
それどころか雨は強くなる一方。
「強くなってんじゃねーか、雨。止むんじゃなかったのか?なあ理紗」
「小降りだったからそう思ったんだよ」
今日は祐輔一人の見回り。
「まぁ、しゃーねぇか。じゃ、行ってくっから」
パタンと扉を閉めて出て行った。
「雨なんか、嫌い」
土砂降りになった雨の中。
「雨なんか、大っ嫌い」
涙か雨だかわからないものが頬を伝う。
「雨・・なんて・・・・・祐輔もそう言ったでしょ?」
大雨のせいで、ぼろぼろだった空き家が崩壊したらしい。
夜になっても祐輔が帰ってこないから、あたしは探しに行った。
そして見つけた。崩壊したそれに巻き込まれて、手と、血の流れる顔だけが見える祐輔を。
傘が落ちる音がした。
「ねぇ祐輔、返事してよ・・」
辺りは真っ暗。
「祐輔、祐輔・・・ねぇ・・・ゆう、すけ・・・」
人もいない。
「死んじゃったの・・・?ねぇってばぁ・・・」
聞こえるのは雨の音だけ。
「なんで・・・」
なんでなんでなんで。
なんで祐輔が死んでしまうの?
「置いてかないでよ・・・」
一人にしないで。
ずっと一緒だって、言ったじゃん。
「本当なの・・・?本当なの・・・?」
同じ問いを繰り返し、血の付いたその顔に手を当てる。
暖かさを微塵も感じない冷たい感触は、あたしのかすかな光までもを持っていった。
あたしは祐輔に覆いかぶさっている木の板や瓦礫をどかしていった。
大きな重い木の柱をもちあげて、やっと見えた祐輔は全身血まみれだった。
脚や体には木の断片が刺さり、肉が裂け、血が流れ出ていた。
「祐輔ぇ・・・」
やっと助け出せた。
あたしは血と雨に濡れた祐輔を、どこに連れて行こうか悩んで、
引きずりながらも署まで連れて行った。
正面玄関に立っていた警備員さんはあたしたちを見てすぐに祐輔の上司を呼びに行ってくれた。
数分しないうちに他の何人かと走ってきて、とりあえず祐輔をそっと担架に乗せ、あたしと一緒に中に入った。
救急車も呼んでくれてたらしい、祐輔は到着した救急車に運ばれていった。
残った玄関には、あたしと祐輔の上司と、さっきの警備員さん、
一緒に降りてきてくれた、たぶん祐輔の友人や先輩だろう人達がいた。
病院に運ばれたって、あの変わり果てた姿じゃ望みなんて微塵もない。
上司さんたちは静まり返った玄関ホールで、祐輔に起こった悲劇に呆然とし、涙していた。
どうして祐輔がこんなことに、と。
数日後、祐輔の葬式が行われた。
たくさんの人が、祐輔の死を悲しみ、泣いていた。
今日も、あたしの嫌いな雨は降っていた。
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どうでしたでしょうか?
初投稿なので至らない部分もあるかと思いますが少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
ちょっとグロいのはすいませんでした(汗)
よろしければ感想を下さいね
コメント
3点 hana 2010/05/01 12:26
うまいですね。たしかに少しグロイ。。。