悪魔の手先 番外編”水岡家の食卓 @2” 作:キョン
悪魔の手先 番外編”水岡家の食卓in姉妹 @2”
あの後天王と私は私のの部屋に来ていた。
天王は「別に見せたくないならリビングでもいいぞ」と言っていたが、「別に気にしないからいいよ」と言って、2階の私の部屋に案内した。
いや、本当はメッチャ気にするさ。というか気になるさ。それでもなんか部屋のほうがいいじゃない。リビングよりも。
べ、別にそういう事じゃないよ!そういうことをするとかじゃなくてね……あぁ、もうめんどくさい!
と、とにかくそういうことで私の部屋に今います。
「つーか、なんか本当に『女子の部屋』って感じだな。意外」
「それどういう意味?」
「別に、深い意味はないよ」
「ふ〜ん。本当に?」
「本当だって」
む〜……確かに女の子っぽい感じをしたことないけどさ、それを口に出すものなの?
実際問題、こんなピンクでハートとか星とかがいっぱい書いてある壁紙で、ぬいぐるみとか少女マンガとか可愛い小物とかがたくさんあるような部屋を想像していなかったでしょうけど、それは口に出さないものなんじゃないの?
「まったく、デリカシーという言葉を学ぶべきだね」
「誰が?」
「あんたがっ!」
「は?何で?」
「………………」
デリカシーなっ!!!そして鈍感!!!
まったく、何で私はこんな人を選んだのか……時々分からなくなるよ……。
「ところで、何で俺はこんなところに呼び出されたんだ?」
「へっ?」
考えてみれば当然の問題なのだが、本当は特に用は無い。
「えっと、天王と一緒に居たくて…………」とか言ったら、「は?何で? そんなことなら帰りたいんだけど」で一蹴されるはずだ。
「えっと…その……」
「それは私に用があるからだ!」
そう言いながら今度は服を着た姉が飛び込んできた。
「姉さん!?どうやって出てきたの!?」
「ピッキング」
「犯罪者!!」
これもIQ150の姉がなせる技なのかは知らないが、確実に犯罪者予備軍が居ることは確かだ。
「そんなことより、天王君!」
「は、はいなんでしょう?」
「私に惚れていいぞ!」
「………………………は?」
単刀直入。こんなにはっきり言うとは思っていなかった。
「あの、そんなどこかの奇策師みたいなことを言われましても……無理です」
「Youの意見なんかI don't knowだよ!!」
「ええっ!?俺の人権は!?というかなぜ英語なんですか!?」
「シャラップ!!」
「傍若無人ですね!」
私はこの間中ポカンとしていた。しかし、「傍若無人!」という声が聞こえたあたりで目を覚まし、
「な、何言ってるの姉さん!」
「だから、私に惚れていいと言ったのだ!」
「だからそれどういう意味よ!」
「そのままの意味だが?」
「そう言うことじゃなくて!!」
ここでワァワァと口論が始まってしまった。そしてしばらくそうしていたであろう。
気付いた時には
「……Zzz……」
天王は眠りについていた。
「ええっ!この状況で!?しかも女子の部屋で!?」
「ちょっと話は終わってないわよ!この、起きな――――」
刹那、さっきの拍子に落ちていた私のピンが姉の頬をかすめた。
『……………え?』
私と姉は同時に声をあげた。
姉の頬からは血が出て、ピンは壁に突き刺さっていた。
「…………邪魔をするな…………」
『…………はい』
そういうと天王は再び眠りについた。
そういえばそういうキャラだったね。
姉は小声で「こいつ……怖い………」と珍しく涙を浮かべていた。
私はそれを華麗に無視して天王を見た。そして一言
「ここ、私の部屋なんだけど………」
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天王は10分くらいで起きた。いろいろ助かった。
その後姉はさっきのことに恐怖を覚えたのか、意図をちゃんと説明し始めた。
「だから、とある理由で私に惚れてほしいんだよ」
「とある理由ってなんですか?」
「聞くな、しばらくすれば分かるであろう」
「そんな諭すように言われてもですね…」
「まぁ、そういうわけだ。しかし、実際問題、こんな美人の人と付き合えるというのは、そうとう幸福なことだと思うぞ?」
天王は頭を人差し指で掻きながら、
「う〜ん、そう言われましても俺はそういうの興味皆無なんで……」
「嘘つけぇぃ!!」
「ええっ!?」
「本当はお前性欲大魔神なんだろ!?そうなんだろ!?」
「いや、違いますよ!!なに言ってんですか!!」
「ふふふ、本当は私と付き合ったことを想像して興奮してるんだろう!?」
「真正の馬鹿だったんですね。すいません」
「謝られた!!」
やはり私の気持ちを隠したままでは説明しにくいようだ。
姉は「あぁもう!!」と言い、
「要するにちょっとした理由で私と付き合ってくれ!頼む!」
と言った。天王は
「いや、だから興味無いんですって」
「そこをなんとか…」
「というよりあなたは俺のことを好きでも何でもないでしょ?それなのにどうして」
「だからちょっとした理由だと言っているだろうが!」
「それを教えてくださいよ………」
一向に話が進展しない。どうしたものかと悩んでいると、姉がとんでもないことを言い出した。
「よし、もうわかった。お前今日家に泊まれ!!」
「……………さ、そろそろ帰るわ。邪魔したな水岡(妹)」
「私だけ華麗に除外された!!」
「そりゃしますよ!!あんた何言ってんのか分かってるんですか!!」
「あぁ、分かってるさ! だが安心!今日は家の親は誰もいないし、明日も帰ってこない!何してもAll OKだ!」
「だから不安なんです!! あんたみたいな犯罪者のにおいがする人の所に、何で泊まらないといけないんですか!!」
「ちょっと待てって!!本当に!」
必死に帰ろうとする天王とそれを止める姉。これって世に言う『●●●の前で帰ろうとする女性を無理やりひきとめる男性』という関係では?性別逆だけど。
「頼むから!!君の●●を無理やり奪ったりしないから!!寝てる所を襲ったりしないから!!」
「………でも、家には親がいますし……」
「君一人暮らしでしょ!!」
「なぜ知っている!!」
「妹から聞いた!!」
……あぅ、天王に睨まれた…………。涙出てきた………。
「………あ、君私の妹泣かせたね?」
「!!……いやしかし、今のは不可抗力と言うか……おい、悪いな水岡……」
「ふっふっふ、これで君は妹の言うことを聞かなくてはならなくなったな」
「……くそ、若干正論だから反論できない…」
………え?結局私に判断任せるの?
「さぁ妹よ!お前は天王に泊まってほしいか!?否か!?」
「え、え〜と……………」
しばらく無言が続き、結論。
「ちょ、ちょっとだけ………泊まってほしい………かな?」
「……冗談だろ?」
「い、いや、そういうことじゃなくてね!あの、その……ほら!いつも姉さんにはお世話になってるからね!それでね!たまには言うこと聞いてあげるのもいいかな〜って思ったからでね!!
……あの、本当に嫌なら、その…………」
「…………くそっ、分かりましたよ!! 泊まりゃあいいんですよね!泊まりゃあ!!」
「流石だな天王!!流石私が認めた男だ!!」
「あんまり……というか全然うれしくない……」
「失礼な!!」
そんな感じでなんか全然違う方向に話が逸れていくのだった……。はぁ、また同じ屋根の下で寝るなんて………どうしよう………。
<悪魔の手先 番外編”水岡家の食卓in姉妹 @2”完>
=作者より=
我が輩が心血を注いだ渾身の一作、ご堪能頂けただろうか。
……はい、嘘です。心血なんか注いでないです、はい。
これは『生○会の月末』のあとがきより抜粋したのですが、これをやったのは気分です。なんかすいません…。
そんなことはさておき、いかがだったでしょうか?
今回はさらにややこしくなる確率100%になっていますが、仕方ないんです。本当に。
安○先生に「バスケが……したいです」と言ってしまうくらい仕方ないんです。はい。
まぁ、どうでもいいですが、そう言うことです。
この展開は最初から決まっていたことでしたのでね……オチもきちんと考えてありますゆえ……
では以下に恒例のお礼を申し上げます。
それでは、このような拙い小説に時間をかけてくださったあなたに感謝を。次回@3、一体今後の展開はどうなるのか!乞うご期待!!
P.S. そう言えばこれのタイトルは「悪魔の手先 番外編”水岡家の食卓”」となっていますが、正式名称は「悪魔の手先 番外編”水岡家の食卓in姉妹”」です。長すぎて文字数オーバーしてしまいました。
まぁ、ぶっちゃけどちらでもいいので。その辺は気にしないでください。
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