「生きる」という独り言 作:高杉伸二郎
真夜中にラジオをつけっ放しにしていたら、『今日の自分は昨日の自分とは違う、そうだろう?赤ん坊の時の自分が今の自分と同じ訳がない、ーーーー』 後は眠ってしまったのか、何の講演だったかは、はっきりしない。言おうとしている講演の目的も知らずに終わった。
面白いな、確かに同じでない。人生の生き方にも過去のことは関係ない。生い立ち、学歴、職歴、−−−、過去の賞罰、昨日のミスそれは関係ない。今をどういう気持ちで生きるか、決めることが大切なのだ。
人それぞれ個人差がある。よく『老後の楽しい生き方』『こうすればあなたは成功する』なんて題名の本がある。一般向けのものは参考にならない。
人はそれぞれ考えや環境が異なる。自分は自分で考えるしかない。
一方、待てよ、考えるには教科書で習い、本で勉強する基礎的知識が必要だ。やはり人生の参考書は必要かな。これまでの教養も“人まね”にすぎないからな。
「あなた、何書いているの?また“くだらんことで、時間をつぶして。勿体ない”」
突然、後ろで声がした。いつの間にか後ろに妻がいた。
「“くだらんと、思うのは他人”、勿体ないとは思わない」
「ああそう、お勝手に」
「今そのことを書いているんだ。僕の時間はお前の時間ではない。時間の使い方は自分で決める」
「ねえ、ちょっと、買い物に行ってくれない?車で行って欲しいの」
「よし、今自分で判断する。ーーーOK行こう」
「あまり理屈っぽいことをいうと、嫌われるよ」
「それも人が考えること。気にしない。この歳になればマイペースがいいんだ」
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