私は泣いた・・・・・・  作:高杉伸二郎

 想い出すたびに今も涙が出る。
 由紀子は床に伏していた。「伸二郎さん・・・・・・私の病気はもう治らないらしいの。諦めているわ」
「え?何で弱音を吐くの?元気を出してよ」
「お医者さんに言われたのよ。はっきりと」
 私の頭から血が引いた。ボ−としてしばらく何も言えなかった。
・・・・・・
 沈黙が続く
「何か想い出に残ることをそこの紙に書いてほしいわ」
 この世の想い出と言うことか?そばにおいてある色紙をとりあげ
 迷わず「愛」と書いた。不思議に何も考えた訳でもなかった。

・・・・・・
「有り難う、嬉しいわ・・・・・・
私はそっと唇を重ねた。由紀子の顔に私の涙が落ち、彼女の涙と混じり合った。

 やっと入った東北の大学だったが、頭の中は昔小学校の時の同級生だった由紀子に会いたい気持ちで一杯だった。勉強なんてできない。学校も休み、肉体労働、雑品売りなど親に内緒でアルバイトを続けた。彼女が住んでいる瀬戸内海に浮かぶ淡路島に行く旅費を稼ぐためだ。雨の日も風の日も、

「伸二郎は最近学校に見えないが、街で雑品を担いでアルバイトをしているのをみた」「あいつちょっとおかしくなったんじゃあないか」など噂になっているようだが気にしない。親は学校へ行っているものと思い、僅かながら仕送りがあるが、親に申し訳ないと考えもしなかった。頭の中は由紀子しか入っていないからだ。
 鈍行列車旅費をやっと工面し、何十時間もかけて飲まず食わずで淡路島に向かったのだった。

 由紀子にあった。私は泣いた。
 
 由紀子はまもなく亡くなった。あのとき由紀子にあった時一緒に死ねば良かった、と思った。

 溺愛だった。理性を失い、ただひたすら由美子、由美子しか考えられなかった。
 淡路島を離れた時を想い出す。
「今日でお別れね、もう会えない・・・・・・」静かなさびしい唄が聞こえる。

「・・・・・・」この文を書きながら、また私は泣いた。

  彼女の分まで生きて世のために尽くそう、そのご医学部に入り直したが失敗。今は福祉事業に情熱を傾けている。

 


コメント

伸二郎 2010/12/25 12:25
原稿の書き方ミス  編集し直しましたがうまくいきませんでした。
沈黙余韻の・・・・・・の三点リ−ダ−が・・・になったり・・・・になったりして申し訳ありませんでした。

3点 もとむね 2011/01/02 15:37
おもしろい

伸二郎 2011/01/02 20:09
コメント有り難う。これ偽名を使ったがあとはすべて本当の話です。

sisanan 2011/01/08 11:54
由美子ってだれだよww

伸二郎 2011/01/12 17:36
sisanannさん コメ、サンキュウ−:由美子? 本名をばらすのは堪忍してくれ! ゆみちゃんと呼んでいたということにしよう。バスト、ウエスト、ヒップ誰にも負けない素敵な女性ですよ。そう、肌着一枚つけていない彼女は、僕以外はみせていないはずだ。
 なに? それは僕が思っているだけって言いたいだろう。それでいいのだ。僕にとって天女というべきか。


名前
評価

Novel Place CGI-Sweets