コーラス部 〜小春編〜 作:乙路紅麗
第一章 新しい春。
T.優忠中学校
小川風美は市立である優忠中学校の制服を着て肩までの黒髪をゴムで結んだ。
手っ取り早く荷物をまとめると車に乗せると助手席に座る。
黒いスーツ姿のお母さんは風美が車に乗ったのを確認すると車を走らせた。
風美はまだ優忠中学校について何も知らなかった。
「ねぇ、お母さん?優忠中学校って・・・どんな所?」
「あぁ、風美にはまだ言ってなかったわね。優忠は不良が多い所よ。
まあ良い人もいるんだけどねぇ。」
「・・・そう。」
「それと、優忠は国立並にお金を持て余してるらしいわよ。土地も広いのよ。」
「市立で不良が多いのに?」
それっきりしばらく沈黙が続いたがしばらくすると車が止まり、大きな門が現れた。
お母さんは車のドアを開けるとすばやくかばんを取り
「さぁ、付いたわよ。」
いつもより高い声で声を掛けた。
コメント