銀色の波紋。 作:ヒツジなのだ。
夜の水面(みなも)は
透明で
月を見上げて見つめても
深さについては不明です
銀色 静かの午前2時
夜月が微かに震える刻に
水面に波紋が立つのです
月の雫に広がる波は
夜を微かに伝わって
微か、が、
わずか、に変化して
わずか、が、
ほんの、に変化して
ほんのわずかな
ひらがなが
微かにカナに複雑化
ポンポコ変化をするのです
月の雫に広がる波が
微妙にうねりを加えてのちに
ポンポコたぬきを
起こします
たぬきは当然朦朧で
意味の不明を呟きます
ポンポコポコラン
ポコポコポン
深さ不明の夜を抜け
意味の不明が響きます
ポコポコポコラン
ポコリーノ
イタリア生まれの
ポコラティオ
ポコポコポコラン
ポコジュール
フランス生まれの
ポコガムリ
ポコポコポコラン
ポコノッホ
ドイツ生まれの
ポコルクス
夜の時間を呼吸する
朦朧たぬきの呟きは
いかにも適当
ヨーロピアン
いわゆるたぬきの
『ネーリ』の位相
たぬき・ネーリは
無敵です
僕はゆっくり夜に立ち
夜月の不明をポンポコと
月夜のポコラン適当を
時間と共に深呼吸
銀色 月を引き連れて
僕はゆっくり夜に立つ
細くて長い僕の影
波紋に震える影だけが
微かに夜に残ります
夜に漂う残像に
銀色 月を引き連れて
僕は瞳を閉じました
銀色 夜が静かです
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