❤初恋❤ 　作：ななか

骨折で入院した

病院の中を歩き回れるほどだが、手と足を骨折した

ふと見た子供部屋の中に、君がいた。

見たとたんに胸が苦しくなって、初めてだった

君の名前は郁(いく)

手と足に包帯をしていて、顔も少し怪我をしていて、頭にも包帯

よく見えないが、たぶん美人

その日の夜は眠れなかった

次の日、すぐに看護婦さんに郁さんのことを聞いた

友達と遊んでいたら、２６５段もある石の階段から落ちたそうだ

そのことを聞いて、怖くなって屋上に行った

すると、心臓が飛び出るほど美しい女の子がいた

郁さんだった

緊張して逃げようかと思ったが

松葉杖が絡まって転んでしまった

痛くて涙目になって、恥ずかしくて、情けなくなって、立とうとしたら

郁さんが手を貸してくれた

まじかでみたその顔は、まだ少し怪我をしていたが

すごくきれいで、可愛い

恥かしくて、顔をそらした

耳まで真っ赤になるのがわかった

「この前、子供部屋の前を通ったでしょ」

はなしかけられて

「は、はい」

声がかすれていたのでもう一度

「はい、郁さん…でしたっけ?」

「郁でいいよ」

「な、何で屋上に?」

「そろそろ退院しちゃうからさ、最後の記念で。」

もう退院…その言葉を聞いて、かなしくなった

初恋は、実らない。