鈴と柚 第8章  作:ruri

  第8章 

 少し経ってから、私達は寺を出た。もしかしてまた悪霊が
出るのではないかと思って、少し怖くなった。幽霊でさえ見
たこと無いのに、いきなり悪霊だなんてスキップし過ぎだ。
霊を見るにも順番があるんだということを、神様はちっとも
分かってない。…だがその直後に気付いた。鈴も、私も、幽
霊なのだ。いろんな意味で、分かってないのは私の方であっ
た。
 柚は、変な事を考えると、自然と変な顔になってしまう。
だが、今は下を向いていたので、その変な顔も、鈴には見ら
れずに済んだ。
 !
 柚に、さっき感じたような、悪寒がした。また悪霊が出た
のだろうか。
 ふと隣を見ると、鈴も微妙に震えている。感じたのだろう。
でも、その気配はさっきとは比べ物にならなかった。
「走るよ!」
 鈴が大声で叫んだ。そして、二人は走り出した。逃げなき
ゃいけないこの悪霊は、きっとものすごいものだ。
 鈴が急にこっちを向いた。また何か叫ぶのかな?
「あのね!喰われたら、終わりってさっき言ったけど!」
「一回でも喰われそうになったら、終わり、だから!!」
 そう聞いて、最初はびっくりした。だが、
覚悟はしていた。生き返るんだから、そのぐらいの覚悟は必
要だ。
 もう真後ろに悪霊が来ている。ダメだ。喰われる!
 すると鈴が前に出て、一つしかないおまもりを悪霊に向け
た。
 おまもりが光り、悪霊は粉々になった。
 …でも遅かった。鈴は、すでに悪霊に触れて、喰われかけ
ていた。
「うそでしょ?鈴…」
「やだ。いやだいやだ!何で鈴が!!」
                            まだまだ続くぜぃ!


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