温かい雨 作:ruri
温かい雨
俺は悠。ある女の子が好き。朔良っていう、いつもポニーテールのかわいい子。
その子とはそこそこ仲が良くて、たまに話もする。
だから、こんな話も入ってくる。
「朔良の好きな人って佑太だって」
「でね、朔良、今日佑太に告るんだよね!?」
…佑太は俺の友達だけど、すごくイケメンで、性格も良い。運動も出来る。
朔良とはお似合いだなあ。きっとOKもらえるだろうなあ。仲も良いからなあ。
俺なんて、まるで釣り合わないや。
放課後。雨が降ってる。傘持ってきてて正解だったな。
そして、俺はいつもの帰り道を行く。
朔良が立っていた。ずぶ濡れの状態で。
「…朔良!?」
「ゆっち…」
「ゆっち」とは、朔良からだけに呼ばれる俺のあだ名。
「私、フラれちゃったんだ。」
「泣いてるの?」
「泣いてないよ。ほら、私、濡れてるじゃん?そのせいだよ。」
「そう…」
すると、朔良が俺に抱きついてきた。
「泣いてないけどさ、やっぱ、悲しいもんだよね。」
俺は、傘を捨てて、こう言った。
「…俺さ。朔良が好き。」
「っはは!なんか、元気出たよ。嬉しい。」
「う…うう…はは、ヤバいな…」
やっぱり、朔良は泣いていた。
俺の肩に当たる、冷たい雨と、温かい雨は、すごく痛かった。
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