Repeated2-2話  作:あいりあ

「炎剣...っ!」
走りながらルーシアが言うと同時に、その手に炎を纏った剣が構築される
―――術式。
空間に存在する『モノ』の情報を、神種を介して改変し、一定時間何かを顕現させる力。
ルーシアは、軍神『経津主神』と契約しており、奉力を用いて武器を顕現させることが可能だ。
「はぁっ!!」
距離は瞬の内に詰められ、炎剣は落ちる。
迫る炎。然しルゥトは、あたかもその行動を読んでいたかのように、右へと流れた。
次に来るのは薙。
回避の後にも続く攻撃に、然しルゥトは当たらず、笑みは消えない。
続く斬撃。然し、それらが断ずるのは、空の一字で。
「ぁっ......!」
漏れるのは、言葉ではなく、叫び。
「――っ!」
対しルゥトは、迫る炎剣をただ避ける。
気ままで自由な動きは、然し無駄なく洗礼されている。
「そんなに力んでると肩こるわよ?」
「五月蝿い!」
叫ぶ言葉に、ルーシアはそれと、と付け足し、
「あんたも攻撃しなさいよ!」
ルゥトの行動に攻撃は無い。回る。身を低くする。下がる。それらの連続した動きは一見舞のように見えて、
「あら、いいの?」
そう小さくいい、ルゥトは、今までの回避の行動に、別の運動を加える。
今までの回避行動の後。バックステップに続く動きを、然し下がらずに、踏み込む。
捻った体にさらに回転を加え、腰を低くし、
「――っ!?」
――――肉薄する。
予測はできていた。が、分かり易過ぎた故に一瞬戸惑い、
「その戸惑いが命取りよ?」
ルゥトの細い指が一瞬だけ脇腹に触れ、そして、
「飛びなさい」
言葉通りになった。


コメント


名前
評価

Novel Place CGI-Sweets