願えばきっと…。  作:つぼみ




もし生まれ変れたら、貴方は何になりたい?

今までどうり?

それとも今の自分では無い、全く別の人間になりたいと望む?

これは自分自身を嫌い、もっと違う自分になりたいと願っている少年少女の物語…。






 「あーー。今日も疲れた…。」

ひとりごとを言いながらベッドへ飛び込む少女。

 少女の名前は沢内花音。

16歳の高校2年生だ。

成績は真ん中くらいで吹奏楽部に所属している。

楽器は打楽器で中学からやっているので、まぁまぁの腕前だ。

性格はしっかりしていて、元気で明るく、可愛らしい女子高生…に見える。

 けれど実はネガティブで他人の目を気にし、人から見て自分に埋め込まれてしまった性格を必死に保とうとしている女子高生だ。

その上、過去にトラウマを持ち、極度の人見知りで、あまり人に心を開けない。

花音はそんな自分が大嫌いだ。

「過去のトラウマとか…。中二病かよ…。高二にもなって…。」

  〜チャララン♪〜

 枕に顔を突っ伏したまま一人事を言う花音の元に一通のメールが届いた。

花音はそのメールを何気なく開いて後悔した…。

『こんばんは!
 部活お疲れさま〜!
 今日職員室行く途中に見かけたんだけど、沢内さんって打楽器やってんだね〜!
 今度おしえてよ!笑
 ってのは冗談で!せっかく同じ委員になった訳じゃん?
 だから仲良くなるために…っていうのも可笑しいけど、今度ご飯にでも行かない?
 沢内さんの事ももっとしりたいし!
 んじゃ、返信お願いしまーす!!
                       島上修』

…「島上修」…。

 今日委員決めがあって同じ図書委員になった。

しかも図書委員は女子1人に男子1人だ。

女子は花音で男子は島上修になった。

といっても立候補がいなくて仕方なく花音が手を上げたら、島上も手を上げただけだが…。

花音は修が苦手だ。

修は常に笑顔で女子にも男子にも人気がある。

明るくて、元気で…。それに頭もいい。

それに比べると花音は頭の並のなかの並で人見知りも激しいし、明るく元気だとは言っても実はネガティブで人の目を気にする臆病者。

(私とは正反対…。あ、でも返信返さなきゃ…。)

『こんばんは^^
 図書委員、よろしくね!
 ごめんなさい。最近は部活が忙しくて…。
 だからご飯はちょっと無理かも…。
 部活後だったら空いてるんだけど、島上君、部活やってないもんね…。
 ごめんね、また落ちついてきたら行こうね!
                        沢内花音』

(送信っと…。)

これならきっと大丈夫だ。

(さすがの島上くんも部活が落ちついて来る頃には忘れてるだろうし…。)

〜チャララン♪

修からの返信だ。

『そっか…。それは残念(泣)
 俺は沢内さんが終わるまで待ってってもいいんだけど、疲れてるもんね!
 じゃあ絶対に行こうね!!
 んじゃ、また明日学校で!!
 おやすみ〜!   
                      島上修』

(た、助かった…。)

 女子の友達と二人で話すのも苦手な花音は男子と話すなんて考えられない。

それに苦手なタイプの修と話すなんて、絶対に無理な話だった。

(絶対沈黙になって、気まずくなるだけだ…。委員以外にはあまり関わらないようにしよう…。)

 そう誓った花音だが、彼女はこれから自分の目の前に広がっていく人生など1ミリ単位とも予測していない。

これからどんな物語が始まるのか…。

それはまた別のお話…。


コメント

3点 夢羽 2013/08/15 18:20
面白いです^^
続きが楽しみです!


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